不快感で満ち溢れている

フィクションです

渋谷から逃げらんない

相変わらずだらしない街だよ。邪魔くさい熱気だよ。ツタヤの前は運命を求める人間ばかり。我こそが今宵の主役とエッジィな服が並ぶけど、抜けない顔のあどけなさ、水っけのない黄土色の髪の毛ばかりよ。いつまでたってもバブルの余韻が抜けない土壌。権力で…

梅雨の23時はやみつきだよ

梅雨の23時にやみつきになりそう。日中降りしきった雨のせいで、いつものクソつまんない光景も、やけにドキドキしちゃうんだ。誰もいない路地で光る赤と青と黄色、濡れた路面に反射して隣のアパートの窓も三色に染まる。あの部屋の住人よ、公共が作り出すこ…

きもちいい関係

すごく楽しいけど、とてもクタクタになるわ。わたしが気を使い過ぎているだけかしら。頰の筋肉に新しい筋が生まれて、皮膚は慣れずにジリジリ痛むほど笑ったし、やっぱりあなたはわたしが求めてるものをくれる。あなたを通してわたしの中身はまだ死んでない…

『さるかに合戦』

お世辞にもうまそうとは思えない泥だらけのおむすびを、そっと腕に抱える蟹の姿に、ぼくは思わず目を背けた。日光が反射し杏色になった甲羅と、今にも折れそうな細い腕をこのまま見つめたらおかしくなってしまう。仕方なくおむすびに目をやるものの、子供と…

彼がいなかった時間

ホームで気が抜けたように横たわる人。彼の腹はカエルの喉のように大きくゆっくり膨らみ、またしぼむ。特急の到着と共に押し寄せる風が、一番下のボタンが取れた彼のシャツを波打たせる。車両に閉じ込められた何百人の人が解放され、彼の姿に目を奪われる。…

最高に夏のお知らせ

雨が降るか降らないかの手前。Tシャツが貼り付く、これは皮膚呼吸がうまくできていない証拠。木曜日の夜は来たる週末に向けて、みんなちょっと生き生きしだす。早速、終電間際まで騒いできた大学生の男子と後輩の女子。冷房のまだつかない無能な電車で、人…

痛々しい3月の夜のこと

なにしたら正解だったかな。いや、全ての過ちはわたしにあるってことは分かってるよ。21歳だし、高校生のような甘酸っぱさは最初から求めてなかった。でもいっぱい笑って、お酒もうまく回ってきて、これだけで会わなくなるのは寂しくなってしまっただけ。春…

汚い私とさようならして

体が重い。幼稚園生が肩甲骨にぶら下がってるみたいな重さ。悪い菌が体に入ったとかじゃなくて、この体の重さはわたしが作り出しているんだ。なにもしてない自分への焦り。なのに、口実みつけてやる手順を先伸ばそうとするズルさ。汚い自分が素直な自分を蝕…

食べたい寝たい遊びたいという純粋な欲にポジティブでありたい

私はご飯が大好きである。昼ごはんを食べながら夜ごはんのことを考えているし、最後の三口くらいになって「あゝ、あと少しでごはんが無くなる」ととんでもなくエモい気持ちになってしまう。 美味しいごはんは体を作るのと同時に心も満たしてくれる。味の薄い…