不快感で満ち溢れている

フィクションかもしれません

我々クズだな

我々、ほんとうにバカだよなぁ。後はないって重々分かっているのに、溢れるところまでいっぱい感情をほてらせちゃって、このままずっとこうしていたいと体を引き寄せ思うけど、離れた後にもう触れられない寂しさに苛まれて、泣いちゃって。あなたは変に律儀…

おんなが、ふたり

あなたと関係を持っているという女性と先ほどばったり会ってしまいました。一番恐れていたことです。あの強情なあなたが叶わない女性、わたしは怖くて悔しくて、ずっと怯えてきたのです。声をかけてくださった時、わたしは目を丸くさせ、眉毛は不気味なほど…

23時半から24時迄の事

その生き物の頬は、秋の乾ききった夜風に晒され続けた結果、表皮が白く細かな凹凸をなしていた。骨ばった肩に比べて腰回りはしなやかで、シャツの下に隠れた呼吸器官は激しく膨らみ、また萎みを繰り返している。生き物の伸びた固い五本の指は私の後ろポケッ…

家を磨く

今日も丸一日お家にいました。蝉の騒がしさで目が覚め、昼食はロールパン4口程。テレビを点けると再来年のこの国について、安っぽいスーツを着たおじさんおばさんが、薄っぺらい言葉をズラズラと勝手に喋っておりました。真剣な面持ちで意見を述べたかと思…

生きもの

「これはどうしたらいいですか」自分の考えで足りるようなつまらない質問で、あなたとの会話を始める。あなたは相変わらずのムスッと結んだ口と尖った眼で私を一瞥する。ああ、面倒くさいと思われた。その冷たくて硬い一瞬で、わたしの心はこの床を突き抜け…

二次会

グラスが積まれたテーブルの向こうの顔が赤く膨れたみんなに、わたしを食べてもらう。長らく漬け込んでいた、ほんとうの私をザクッと切り取って、食べてもらう。こんな辱め、だれが好んでくれようか。お酒につられて、荒く盛り付けたわたしの一部を、みんな…

カラダを解放した夜

2週間前から不眠症に悩まされていた私は、病院の先生に「身体にエネルギーが溜まっているからでは」と思わぬ診断を受けました。確かに、終始動いていないと居心地悪く感じていた私が、最近は家から出るのも珍しいほど、ゆったりした生活を送っていたような…

私たちはどこへ向かうのですか

60パーセントのあなたでもう十分なのに、ゆっくりと、しかし濃い密度で1パーセントずつ満ちていく。それまで残像しか捉えられなかったあなたの美しい顔を見つめられるようになりました。あなたがずっと隠していた気持ちにも、触れられるようになりました…

渋谷から逃げらんない

相変わらずだらしない街だよ。邪魔くさい熱気だよ。ツタヤの前は運命を求める人間ばかり。我こそが今宵の主役とエッジィな服が並ぶけど、抜けない顔のあどけなさ、水っけのない黄土色の髪の毛ばかりよ。いつまでたってもバブルの余韻が抜けない土壌。権力で…

梅雨の23時はやみつきだよ

梅雨の23時はやみつきになりそう。日中降りしきった雨のせいで、いつものクソつまんない光景も、やけにドキドキしちゃうんだ。誰もいない路地で光る赤と青と黄色、濡れた路面に反射して隣のアパートの窓も三色に染まる。あの部屋の住人さんよ、公共が作り出…

きもちいい関係

すごく楽しいけど、とてもクタクタになるわ。わたしが気を使い過ぎているだけかしら。頰の筋肉に新しい筋が生まれて、皮膚は慣れずにジリジリ痛むほど笑ったし、やっぱりあなたはわたしが求めてるものをくれる。あなたを通してわたしの中身はまだ死んでない…

『さるかに合戦』

お世辞にもうまそうとは思えない泥だらけのおむすびを、そっと腕に抱える蟹の姿に、ぼくは思わず目を背けた。日光が反射し杏色になった甲羅と、今にも折れそうな細い腕をこのまま見つめたらおかしくなってしまう。仕方なくおむすびに目をやるものの、子供と…

彼がいなかった時間

ホームで気が抜けたように横たわる人。彼の腹はカエルの喉のように大きくゆっくり膨らみ、またしぼむ。特急の到着と共に押し寄せる風が、一番下のボタンが取れた彼のシャツを波打たせる。車両に閉じ込められた何百人の人が解放され、彼の姿に目を奪われる。…

最高に夏のお知らせ

雨が降るか降らないかの手前。Tシャツが貼り付く、これは皮膚呼吸がうまくできていない証拠。木曜日の夜は来たる週末に向けて、みんなちょっと生き生きしだす。早速、終電間際まで騒いできた大学生の男子と後輩らしき女子。冷房のまだつかない無能な電車で…

痛々しい3月の夜のこと

なにしたら正解だったかな。いや、全ての過ちはわたしにあるってことは分かってるよ。21歳だし、高校生のような甘酸っぱさは最初から求めてなかった。でもいっぱい笑って、お酒もうまく回ってきて、これだけで会わなくなるのは寂しくなってしまっただけ。春…

汚い私とさようならして

体が重い。幼稚園生が肩甲骨にぶら下がってるみたいな重さ。悪い菌が体に入ったとかじゃなくて、この体の重さはわたしが作り出しているんだ。なにもしてない自分への焦り。なのに、口実みつけてやる手順を先伸ばそうとするズルさ。汚い自分が素直な自分を蝕…

食べたい寝たい遊びたいという純粋な欲にポジティブでありたい

私はご飯が大好きである。昼ごはんを食べながら夜ごはんのことを考えているし、最後の三口くらいになって「あゝ、あと少しでごはんが無くなる」ととんでもなくエモい気持ちになってしまう。 美味しいごはんは体を作るのと同時に心も満たしてくれる。味の薄い…