不快感で満ち溢れている

フィクションかもしれません

おんなが、ふたり

あなたと関係を持っているという女性と先ほどばったり会ってしまいました。一番恐れていたことです。あの強情なあなたが叶わない女性、わたしは怖くて悔しくて、ずっと怯えてきたのです。声をかけてくださった時、わたしは目を丸くさせ、眉毛は不気味なほど縦に上がっていたと思います。その怯えた一瞬を、何も知らない彼女に伝わって欲しくなかったので、急いで口元をぎゅっと上にあげ、言葉は見つからず、ただひたすらに彼女の名前と「お久しぶり」を繰り返していました。彼女はわたしが記憶していたよりも小柄で、鼻は丸く、目が潤んでおりました。凛とした、やはりお綺麗な方です。今なにをしているのか、今日はどうしてここにいるのか。彼女の柔らかい声を聞くうちに、わたしの頭の中は彼女と過ごした短い思い出でいっぱいになりました。不思議なもので、あなたのことなんかどうでもよく思いました。あなたの横にこの女性がいると想像しても、常に胸の奥に転がっていた硬い岩石のような感情は生まれませんでした。数週間前に起きたあなたとの思い出も甘いものに感じませんでした。わたしは彼女と違うのです。わたしが彼女になれないように、彼女もわたしにはなれません。あなたは天秤にかけたかもしれないけれど、私たちは違う土壌にいる人間だと、あの数分でわたしははっきりと気付きました。どうぞお好きなようにしてください。今のわたしからは彼女を羨む気持ちは消えました。あなた方をわざとらしく敬う気もさらさらございません。なぜなら私と彼女は別の生き物だからです。あなたに追いかけてもらいたくて買ったお洋服も、わたしには必要なさそうです。あなたの中に映るわたしは、もうあなたが欲しいわたしじゃないのです。